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『恋あた』注目すべきは“四人の視線” 中村倫也×石橋静河のシーンが切なく映るワケ
11/10(火) 18:00

抱き合う浅羽(中村倫也)&里保(石橋静河) 『この恋あたためますか』第3話
 とうとう四角関係が本格的に動き出した『この恋あたためますか』(TBS系/毎週火曜22時)。11月3日(火)放送の第3話では、冬の冷たさが香る切ない物語が繰り広げられた。(文=阿部桜子) ※本記事はネタバレを含みます。ご注意下さい

【写真】浅羽の胸を借りる里保 『恋あた』第3話を振り返る


■“配送テスト”が鍵になった第3話だったが…

 商品化は叶わなかったもののココエブリィで働けることになった井上樹木(森七菜)は、北川里保(石橋静河)が考案した「プチシューオーケストラ」を店頭に並べるための“配送テスト”をともに行う。店で作るケーキ屋とは違い、トラックで運ばなければいけないコンビニスイーツは、形状を崩さず店舗まで運べることが商品化の鍵となるという。

 しかし、「プチシューオーケストラ」の配送は失敗続き。何種類もの容器をカタログから選び、発注し、シュークリームを詰め、トラックに乗せ、店舗まで赴いて結果を確認。この工程を何度も何度も繰り返す。開発時点で数え切れぬほど試食を重ねてきたのに、またしても商品化の高い壁が立ちはだかる。

 実は放送日の3日に変わった深夜、筆者は深夜の孤独を癒やすため「セブンイレブン」に行った。そこに並んでいたのは「恋する火曜日のチョコっとリラックシュ~」。樹木のシュークリームは落ちたはずなのに…。嫌な胸騒ぎがする。その予感は的中し、配送テストに通らなかった「プチシューオーケストラ」の代わりに、樹木のシュークリームが発売されることが決まった。

楽しそうにスイーツ分析する里保&樹木 『この恋あたためますか』第3話
■語らずにはいられぬラストシーン

 望まぬ形で選ばれた樹木。やっと掴んだチャンスの尾を離してしまった里保。どちらも“選ばれなかった苦しみ”を知る二人だからこそ、この結果に不完全燃焼な想いを抱える。それでも里保は、周りに気を使わせないようにと気丈に振る舞った。樹木の素直さに眩しさを覚えながら…。

 そんな第3話だったが、最も胸を締め付けたのは、あのラストシーンだろう。発売した「リラックシュ~」を社長の浅羽拓実(中村倫也)に届けようと、樹木は嬉しさいっぱいで会社に戻った。そこで、SEKAI NO OWARIの「silent」が鳴り響く。

 樹木の軽快な足取りとは裏腹に、しんしんと積もる「silent」の音色と歌声。エレベーターとともに樹木の気持ちも上昇していくが、残念ながら社長室は真っ暗。がっかりしながら帰ろうとした矢先、目に飛び込んだのは、泣く里保を両手で優しく包み込む浅羽の姿だった。

■注目すべきは“視線”の演出

 第3話の演出を手掛けたのは、『私の家政夫ナギサさん』や『凪のお暇』、『中学聖日記』、『花のち晴れ~花男 Next Season~』と、数々の名作TBS系ドラマを手掛けてきた坪井敏雄。彼の手腕が、四人のあまりにも切ない四角関係を加速させる。

 特に注目すべきは、四人の“視線”だ。樹木と里保の仕事仲間としての視線、新谷誠(仲野太賀)と浅羽の友情の視線、樹木の服装を少し軽蔑したような目で見る浅羽の視線など、シチュエーションに合わせて丁寧に演じ分けられた目を、カメラはすかさずキャッチする。

 例えば、樹木と里保は、スイーツプレートやアイスなどのスイーツを一緒に食べたとき、目を合わせ、アイコンタクトで美味しさを共有する。浅羽の歪んだ考えに呆れ、新谷が「拓兄、友達いる?」と冗談で聞いた時、浅羽はじっと上目遣いで「お前」と言わんばかりに新谷を見つめる。これには、新谷も照れ笑いを見せる。このように視線を送る長さや場所、タイミングで、それぞれの関係性が巧みに表現されるのが本作の魅力の1つではないだろうか。

 さらに面白いのが、浅羽の目の使い方。第3話では、浅羽が、樹木と里保のそれぞれとエレベーターで二人きりになるシーンがあった。浅羽は、樹木を前にした時は、じっと見つめながらアドバイスを与え、また、少し目を細めて冗談交じりの皮肉も披露する。一方、里保には、ほとんど目を合わせない。背中を向けたまま話し、時々振り返るも、まるで肩と会話するかのように、すこし下を見る。一度だけ目を見た時があったが、すぐにそらした。

サビと同時に現れた浅羽 『この恋あたためますか』第3話
■積み重ねが生きる浅羽と新谷のシーン

 この各シーンでの小さな積み重ねが、ここぞというシーンで、心が張り裂けけそうな哀愁を生む。里保の作り笑いに気づいた浅羽は、彼女を追いかけ、後ろから静かに里保の背中をじっと見つめた。「びっくりした~」と振り返った里保の目を見て、浅羽はまっすぐこう言った。「笑わなくていい。無理して笑うな」。里保が最も欲していた言葉だ。

 「じゃあなんて呼べばいい?」「北川さんでしょ」。第2話でそう言われていたのに、浅羽は、心の隙間を埋めるかのごとく、「里保」と名前呼びもする。これまで、緊張や気まずさから、なんとなく入っていた体中の力が抜け、ずっと交わらなかった二人の視線と心が、ここでようやく重なった。浅羽が「silent」のサビと同時に現れる“ズルい演出”には、多くの視聴者が心を奪われたことだろう。二人が抱き合うことに“正しさ”があるからこそ、居合わせた樹木の疎外感も増す。

 さらに、視線を使った演出はこれだけではない。樹木と新谷のすれ違いも、視線を使って巧みに表現されている。コンビニの仲間たちと新谷で焼きそばパーティーをした際、樹木と新谷は買い出しにでかけた。横断歩道で横並びに立ち止まって話すも、樹木をよく見る新谷に対して、樹木はほとんど道路の方を向いて話す。好き避けや視界に入れたくないほどの嫌悪感とはまた違い、樹木の中に「新谷を見つめたい」という気持ちがないのを、悲しいかな感じてしまうシーンだった。

 樹木と新谷は目を合わせないというわけではない。「リラックシュ~」発売を迎え、樹木と新谷がエゴサーチする場面は、顔を合わせ、「二人で作った最初の1個は忘れない」という熱い想いを語り合う。でも一瞬だけ、樹木が、浅羽に渡す紙袋を見るショットが挟まれる。たとえ新谷といても、樹木が求めるのは浅羽の影。われわれ視聴者は、この一方通行を知るからこそ、浅羽に会いに行く樹木を見送る新谷の瞳に、心を痛めるのだ。

■「直視できない」第4話へ

 繊細な視線の演出が光った第3話。偶然か、公式サイトの第4話のあらすじには、浅羽と里保の一件を見てしまった樹木は、社長室に呼び出されるも「浅羽を"直視できない”」と記されている。第4話で四人はどんな景色を見るのだろうか。この先の展開からも、目が離せない。

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最終更新: 11/10(火) 18:00

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